街の英雄である黄麒英のドラ息子・飛鴻は、武術の腕は立つが、毎日遊んでばかり。
ある日、親戚のおばさんの娘に間違って手を出してしまった飛鴻は勘当寸前になるが、おばさんの提案で、知り合いの乞食である蘇化子の元での修行をさせられる。この蘇化子は一見、酒飲みの小汚く見える老人だが、武術の腕は広東でも十指に入る(広東十虎)武芸の達人で、彼の元で1年修行させ、精神を鍛え直させようというのだ。
嫌々ながらも弟子入りする飛鴻だが、過酷な修行が嫌になり、隙を見て逃げ出してしまう。
その先で会った無影拳の使い手、殺し屋鉄心に屈辱な目にあわされ、飛鴻は再び蘇の元へ戻り、修行を再開する。
そして、頭突きのタイガー、棒術のワンとの戦い等を経て、蘇の秘伝の奥義・酔八仙の拳<酔拳>をついに会得する。
そんなある時、黄麒英の所有する先祖の墓のある土地から石炭が採掘できる事を知っているリーは、麒英に交渉を持ちかけるが、「先祖の墓は譲れない」と一歩も引かない麒英。
憤慨したリーは殺し屋の鉄心に麒英の殺害を依頼する。
しかし、麒英を暗殺しようとした鉄心の前に立ちはだかったのは、酔拳を身につけた飛鴻だった。
今、酔拳VS無影拳の壮絶なバトルが始まる!!
日本でのジャッキー初公開作にして、天下の石丸ジャッキーの第1弾!そして「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズでリー・リンチェイが演じた事でもお馴染み、伝説の英雄ウォン・フェイフォンの物語、それがこの酔拳である。
本国では蛇拳の次に公開されている為、第2弾となるワケだが、まぁ、そんな事はどうでもいいくらいの面白さである。
キャスト的には、蛇拳とほぼ変わらないメンバー(主人公:ジャッキー、師匠:シャオチェン、敵役:チェンリー、いじわる:ディーン・セキ)だが、もしかしたら日本では酔拳を先に公開して成功だった気がする。
酔拳の型は(知っている方はしばらく飛ばして読んでください、笑)全部で8つあり(説明はしませんが、苦笑)、この動きの凄まじさ、コミカルで特徴的な動き、そして何より最終決戦にも関わらずあまり緊迫感のない決闘(誉め言葉)、これが管理人的にはツボで、何度見返しても飽きない出来だ。
吹替もジャッキーの石丸博也は若々しく(微妙にギャグが空回りだったり演技がジャッキーから浮いて見えるのも一興)、スッとぼけた感じの小松方正、冷徹な(でも戦う時は奇妙な奇声を発する)演技の津嘉山正種・・・とまさにベストキャスト。
ちなみに、管理人の所有するバージョンは、「酔拳2」公開時に特番として放映されたもので、新録画のジャッキー司会のバラエティ番組(インタビューで若き日のナイナイが出演)が挿入されていた為(と推測)、棒術のワンとのリベンジマッチやOP(原語では鉄心がユエン・シュンイーと戦うのがOPだが、日本版では、主題歌「拳法混乱」をバックにジャッキーの酔拳演舞)がカットされており、個人的には全長版とはいかないまでも(元々のもカットしてあるようだし)カットしてないバージョンも見てみたいものである。
そして、これも推測だが、この吹替がいつまで経ってもソフト化されない(今度発売のDVDも原語のみ)のは、劇中に日本語版で勝手に挿入した酔拳の主題歌「拳法混乱(カンフージョン)」がかかるため権利がいちいちややこしくて採算が取れない・・・などの理由が挙げられるのだが(日本語になってないな)、個人的にはそこら辺をクリアして何とか発売してほしいものである。それでなくても最近では酔拳2しかTVでやらないんだし。
でこの拳法混乱、実は酔拳本編とは雰囲気の違う明るい爽やかなポップスなのだが、劇中の要所要所でアクセントとして流れており、これによっていわゆる泥臭い香港カンフー映画から一歩抜き出た、垢抜けた感じに仕上がっているのはこの曲あってこそ。しかしこの曲、よく聞いてみると「お前の目の前に奇跡の人がいる」だの「僕そのものが正義で愛」だの字だけ見るとやたらあつかましい歌詞なんだが(笑)、それでも聞いていると全く違和感が湧かず、それでいて何度も見ていると気が付けば「カンフーージョーーーン♪」と歌いだす効果もあり(笑)。
そんないい出来の吹替版のDVD化を望んでいるファンは多いので採算は充分に取れると思うのだが・・・やはり採算以上に権利関係が面倒だと手を付けたくないのか、いつまで経っても入る事はないのかもしれない。
でも、この映画はなかなかいい出来なので、TV放映の際は標準録画必須!という事で(笑)。あと、キャラ名が漢字名の音読みなだけのキャラだけど、2と主人公や親父はキャラは同一なので注意。
余談だが、続編としてジャッキーが抜け、蘇化子が主人公(でも声は緒方賢一)の「南北酔拳」と(亜流ではないよ)、ご存知「酔拳2」がそれぞれある。
オススメ度:☆☆☆☆ 、評点:88点
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