霊幻道士3
キョンシーの七不思議

1987年、香港映画  原題:靈幻先生、英題:Mr.VAMPIRE3  配給:東宝東和

■ソフト情報(※海外版は原則的に日本語字幕・吹替共に無しのソフトがほとんど)
ビデオ発売:ポニー・キャニオン(字幕スーパー、日本語吹替版)
海外版DVD発売:デルタマック(日本版DVDは未発売)
海外版VCD発売:デルタマック

STAFF
監督:リッキー・リュウ
製作総指揮:サモ・ハン・キンポー
アクション監督(武術指導):ラム・チェンイン、トン・ワイ、サモ・ハン・キンポーグループ(洪家班)
脚本:シト−・ヒーフォン
音楽:アンダース・ネルソン、メロディ・バンク
制作:ゴールデン・ハーベスト、ボーホーフィルム
配給:ゴールデン・ハーベスト、STAR TV、メディア・アジア、フォーチュンスター・エンターテインメント
日本語吹替版演出:壷井 正(?)

CAST(声優)
霊幻道士リン:ラム・チェンイン(青野 武)
マオ道士:リチャード・ウン(石井敏郎)
保安隊長チャン:ビリー・ロウ(玄田哲章)
オーボー:ウォン・ヨォクアン(三田ゆう子)
ター・パオ:ルイ・フォン(関 俊彦)
チー・パオ:ホー・キンウェイ(渕崎ゆり子)
テイチー(津久井教生)
フー(荒川太郎)
ショウ(星野充昭)
ハン:サモ・ハン・キンポー(水島 裕)
客人1:ウー・マ(亀井三郎)
客人2:ユン・ケイ〈コーリー・ユエン〉(秋元羊介)
客人3:イップ・ウィン・チョウ(小室正幸)
弟子:ラウ・チャウサン(秋元羊介)
その他(大塚明夫、伊井篤史、平野正人)

STORY:キョンシーVS道士VS悪霊!対決の行方は!?

インチキ半人前道士のマオはキョンシーの兄弟ター・パオ、チー・パオと組んでサギの悪霊退治をして暮らしていた。しかし不運にも今回の家には本物の霊が棲んでおり、逃げてきたマオ達はふと立ち寄った家で保安隊長チャンに馬泥棒と間違えられる。
間一髪のところを霊幻道士リンに助けられたマオは、最近馬泥棒が頻繁に現れ、今夜はそれを捕らえる作戦の日だと知る。
そして森で馬泥棒を迎え撃つリンやチャンだが彼らの正体は妖術使いで、2人を捕らえたものの、ボスであるオーボーに逃げられる。
そしてしばらく経った日のリンの誕生日、リンを怒らせたチャンは腹いせにマオにちょっかいを出しター・パオ達を怒らせる。それを見つけたリンはキョンシー達を壷に閉じ込めてしまう。リンの家に忍び込み、兄弟を助けようとするマオだが、リンに見つかってしまい、「キョンシーと人は一緒には暮らせない」という戒律を説かれ、兄弟と別れまともに暮らそうと決意する。
しかし、別れた早々、チャンの仕返しで兄ター・パオが連れ去られる。ター・パオを助けようとチャンともみあいになるマオ、そこにオーボーが現れター・パオとマオの道士の衣装を持って逃げてしまう。
ター・パオを助ける為にリンとともに戦うマオ。戦いに備えるリンだが長年の勘からか「今夜は服を着ないほうがいいかも」と衣装を脱ぐ(下段2枚目)。「あんたが着ないんなら、わしに貸してくれ」と服を着るマオ、だがこれが不運となった。襲ってきたター・パオは道士の服を着ている者が鳥に見えるようにオーボーによって術をかけられており、服を着ていたマオを鳥と勘違いし追いまわしたのだ。すったもんだの死闘の末、ター・パオを助け馬泥棒3人を倒すリン達。
盛大に食事会を開くが、3人の馬泥棒はキョンシーとなって再び暴れだし、チャンの友人のテイチーも甦ったオーボーに殺されてしまう。
油で揚げられた手下は生焼けのキョンシーとなり、オーボーはさらに強力に、そして凶暴化していく。
ラムとマオ達は、オーボーを倒し、町に平和を取り戻すことができるのか!?

解説:「いらっしゃいませ!お客様、キョンシーの唐揚げはいかがですかぁ?(Piaキャロット風に)」

前作の現代劇だと話に広がりを作りにくいと思ったのかどうかはわからないが、今回は1作目と同じ100年近く前に時代設定を再び戻し製作された第3弾。
道士役のラム先生はともかくとして、オーボー役は前作でママキョンシーだったウォン・ヨォクアン、チャン役が1でウェイ、2でケイを演じていたビリー・ロウ、弟キョンシーのチー・パオは前作に引き続きキョンシーやくのホー・キンウェイなどちょっとキャストの使いまわしが目立ってきた3弾だが、今回もスペシャルゲストとして「五福星」などで全裸を披露してきたリチャード・ウン(今作でもバッチリ)とシリーズ前半のボスであるサモ・ハン・キンポーがカメオ出演。んでもって相変わらず話に干渉しないカットされてもおかしくないくらいの出番でウー・マが皆勤賞(笑)。最近ではリー・リンチェイ(現・ジェット・リー)と組んですっかり有名になったサモ・ハンの後輩ユン・ケイもアクションを見せるワケでもなく誕生日会に酒呑みに来ただけの役で登場・・・ジェームズ・ティエンといい、この時代の香港映画ってアクションできる人に「なんでもない役」振り分けまくってる気がするのは気のせいか?
話の内容は、毎度おなじみの「子供にもわかる程度」だが、今回は前作の緩慢剤アクション(オレ命名)を進化させたような、「カッコイイアクションシーンをスローで魅せる」技法(オレ命名:決めアクション)を多用。前作は特に何でもない動きまでもがスローだったので見ていて少しタルい箇所もあったのだが、この決めアクションを使うことによって、無駄がなくなり、道士様の動きがさらにカッコ良く見えるようになった。
見どころはやはり道士様のアクションシーンなのだが、チャンとテイチーの掛け合いもナイス。チャン役の玄田哲章氏(おなじみシュワちゃん)と津久井教生氏(TVアニメ「スクライド」の最速の男ストレイト・クーガーが素晴らしい)というキャスティングの勝利だろう(本編中に流れる位牌の歌は最高!)。
惜しい所は道士様が道士の衣装を着るシーンが1分とないところだろう。あの服カッコいいのに・・・。
そして何とキョンシーの唐揚げ(天ぷらでもいいけど)という冗談のようなハッタリ術が新登場!(といっても今回限りだけど・・・理由は、見ればわかる・・かな?)半ヤケのキョンシー(半ヤケってわかるようにしっかり揚げ物っぽく衣をつけている、だが当然衣をつける描写はない)というハッタリ効かせまくりのギミックで観客の半分置いてきぼり(俺含む残りの半分は何故かそんなシーンにひかれてた)。その他のキョンシーも顔が餅のようにふくらんだり(本編後の予告では「中国の不思議な餅男も登場!」みたいな大ウソをついていた)、手が伸びたりと少々見た目重視の映画になっているのが残念。でもオレは好きよ。
キョンシー映画のキーワードとして、「よっぽどの事がない限り、人が殺されてもあまり悲しまない」というドライな事態が起こっているのだが、この映画も例にもれず。それとも悲しんでいる余裕はないのか?
そういえば、メディアアジアが霊幻道士の1、2、5のDVDを出していた頃、この3と4作目の最後の霊戦のDVDは発売されず終いだったんだけど、謎だなぁ・・・だって、作ってる会社違わないのに(むしろ違ってるのは5)3と4だけの配給権持ってないなんて事おかしいでしょう(苦笑)。
オススメ度:☆☆☆☆、評点:85点。

トップページに戻る      キョンシー小百科に戻る      霊幻道士・完結編へ進む