霊幻道士2
キョンシーの息子たち!

1986年、香港映画  原題:彊屍家族:彊屍先生續集、英題:Mr.VAMPIRE2 配給:東宝東和

※台湾等では「暫時停止呼吸2」などのタイトルで公開・ソフト化されている。

■ソフト情報(※海外版は原則的に日本語字幕・吹替共に無しのソフトがほとんど)
ビデオ発売:ポニー・キャニオン(字幕スーパー、日本語吹替版)
旧DVD発売:パイオニアLDC、メガスター・ビデオ(字幕スーパー)
海外版DVD発売:デルタマック(日本語字幕無し)
海外版VCD発売:デルタマック(香港)、新生代寶信資訊(台湾)

STAFF
監督:リッキー・リュウ
製作総指揮:サモ・ハン・キンポー
アクション監督(武術指導):サモ・ハン・キンポーグループ(洪家班)
製作:レイモンド・チョウ、レナード・ホウ
製作担当:チェン・パイファー
脚本:バリー・ウォン〈黄炳耀〉
企画原案:ウー・マ、ユン・ケイ、ユン・ピョウ
美術:ハニー・ラム
SFX総指揮:チェン・チャプハン
編集:チェン・ユー・サン
音楽:アンダース・ネルソン、メロディ・バンク
制作:ゴールデン・ハーベスト、ボーホーフィルム
配給:ゴールデン・ハーベスト、STAR TV、メディア・アジア、フォーチュンスター・エンターテインメント

CAST(声優)
霊幻道士Dr.ラム:ラム・チェンイン(青野 武)
新聞記者ジェン(ゼン):ユン・ピョウ(古谷 徹)
Dr.ラムの娘(リーファ、ジナ):ムーン・リー(佐々木るん)
カク教授:チュン・ファト(阪  脩)
助手ケイ:ビリー・ロウ(竹村 拓)
助手トウ:ラウ・チャウサン(中尾隆聖)
ベビーキョンシー:ホー・キンウェイ
パパキョンシー:チェン・ウインチュン
ママキョンシー:ウォン・ヨォクアン(さとうあい?)
ガーガー(チャチャ):ホン・シイユー(渡辺菜生子)
ガーガーの兄:ツォイ・ムンカム(鈴木富子)
ガーガーの父:ウー・フォン(納谷六朗)
博物館員:フォン・ツイフェン(幹本雄之)
父の同僚:ウー・マ(秋元羊介)
警部:ジェームズ・ティエン(安田 隆)
ネルソンさん:アンダース・ネルソン
警察署長:チョウ・ダウワー(辻村真人)
警官(津久井教生)
消防署員(菅原淳一)

STORY:キョンシーに息子登場!でも誰の息子?

前作から約99年の時が経ち、キョンシーという怪物の存在も人の心から消え、霊幻道士という職はなくなりコウ道士の子孫ラムは、漢方薬の医者をしていた。しかし、先祖からの秘術を守るために今でも修行はしている。
ある日、香港郊外の墓を盗掘していた墓泥棒のカク教授とその部下ケイとトウは3体のキョンシーを発掘した。早速研究室へ持ち帰り1体子供のキョンシーを売りとばしたが、運送中に封印のお札がはがれどこかに消えてしまう。
一方、研究室のケイはイタズラのせいで残る2体を暴れさせ、何とか止めるが怪我をしてしまう。
ラムの所へ診てもらいにいくが、ラムはその傷がキョンシーによるものだと見抜く。その場をごまかすケイだがラムの目はあざむけなかった。ラムは自分の娘と婚約者で新聞記者のジェンとともにケイのあとをつけ、カクの研究室へ行く。
そして、発見したキョンシーを封印しようとするが、先祖から受け継いだ術も完全なものにしているわけではないので苦戦してしまう。さらに輪をかけて動きが鈍くなる緩慢剤という薬をかいでしまい、キョンシーと共にスローテンポな戦いを強いられる。
その一方で逃亡したベビーキョンシーはガーガーという少女の家でベトナム難民と勘違いされてかくまわれ、奇妙な同居生活を送る事に・・・。
緩慢剤を大量に飲ませる事でママキョンシーとパパキョンシーの動きを止める事に成功した道士達だが今度は警察や博物館、果ては消防署までが介入、そこにカク教授が入ってきた事により今度は街中でキョンシーの2人がベビーキョンシーをさがし暴走!
はたしてDr.ラムは再びキョンシーを成仏させる事ができるのか?それとも・・・

解説:「2作目は駄作」というセオリーを脱却できたのか?

前作の好評を受けて、再び制作された第2弾。
今度はベビーキョンシーと少女ガーガーの友情を全面に出した異色作。でも「息子たち!」とかいっときながらキョンシー自体は前作とは全く無関係だし、息子がベビーキョンシーしかいないんだが・・・(苦笑)。
ちなみにDr.ラムが前作のコウ道士の子孫という設定は実業之日本社刊の「キョンシー大百科」に記述されているが、この本かなりいいかげんなのでこの設定も疑わしい(だけどこのほうが前作とのつながりが少しだができるのでオレ的には取り入れている)。
冒頭に出てきた道士のミイラが1のチェン(コウ)道士だとすれば不気味な因果として(ストーリーとは関係無いが)一筋縄ではいかない物語となっているだろう。
今作では霊幻道士という職業自体が無くなった事になっているが、実際の道士は日本のお坊さんにあたるものなので、今でも実在はしている。

今回登場したゲストスターは当時ジャッキー、サモ・ハンと並ぶ大人気スターだったユン・ピョウ(ちなみに彼は何故か企画原案も担当している)で、すっとぼけた新聞記者ジェン(この役名はパンフには載ってないので日本語版だけなのかも・・・と思ったらDVDではゼンって呼ばれてたからちゃんと名前はあるのね)を好演している。
カク教授の取引先の電話の声・ネルソンさんは一連のシリーズのテーマ曲の大半を書いているアンダース・ネルソン。動く彼は「奇蹟<ミラクル>」などでも見受けられるが今回は声の出演。
この時期サモハン映画にチョイ役でやたら出まくってたのがジェームズ・ティエン。正当なカンフースターでもあるのに出てきて速攻殺されたり(「サイクロンZ」)、動かないマフィアのボスだったり(「五福星」)、アンディ・ラウの上官だったり(「十福星」)で、皮はぎ義賊で活躍してた「神拳ヤング・ボディーガード」の面影はみじんもなく、今回もちょっと宮内 洋似の警部さん。しかし声はスタッフは気づいているのか偶然なのか、「ヤングボディーガード」と同じ人だったのに驚き。
もう一人、福星シリーズによく出てる元祖フー役(クワン・ダッヘン版ウォン・フフェイフォンの)で有名なチョウ・ダウワーが警察署長役だが、十福星も上海エクスプレスも警察役なのでオレ的にはフーよりも警察役のほうが印象深い。

アクション面では前作に比べパワーダウンしている感が否めない為、(Dr.ラムが正式な道士ではないため弱くなっている)これを楽しみにしている人にはちょっとつらいかもしれないが、ママキョンシーとパパキョンシーが香港の街を車づたいに大ジャンプしているシーンのワイヤーワークは素晴らしいのでこのために見るのもいいかも。あとは緩慢剤をかいでラム達(キョンシーまでもが)の動きがスローになり、セリフまでゆっくりになっていく所などはなかなか面白い(スローで魅せるアクションのかっこよさは、「3」で一応の完成をみる)。
でも、ガラス棚を割りながら飛ばされるユン・ピョウはこの映画屈指の痛さが伝わるシーンではなかろうか(少なくともビリー・ロウが噛まれるところよりは)。

キョンシーVS道士VS墓泥棒VS警察の構図はもっとはっきりさせたほうが面白かったかもしれない。
最後の2段オチはホラー映画ではよくあるパターンだが、この映画ほど恐怖を全く感じさせないのも珍しい。
そしてこの映画もそこそこにヒットし第3弾が作られる事となる。
オススメ度:☆☆☆1/2、評点:75点

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