妖術秘伝 鬼打鬼

1981年、香港映画  原題:鬼打鬼、英題:SPOOKY ENCOUNTERS

※ビデオ、DVD題は「妖術秘伝 鬼打鬼」だがTV放映題は「燃えよデブゴン8 鬼打鬼」もしくは「燃えよデブゴン8クンフー・ゴーストバスターズ(未確認、多分リピート放送回)」として放映されている。
なお、英題は「ENCOUNTERS SPOOKY KIND」と呼称する場合もある。

■ソフト情報(※海外版は原則的に日本語字幕無しのソフトがほとんど)
ビデオ発売:ポニー・キャニオン(字幕スーパー)
DVD発売:ユニバーサル・ピクチャーズ(字幕スーパー、デジタルリマスター版)
旧DVD発売:パイオニアLDC、メガスター・ビデオ(字幕スーパー)
海外版DVD発売:デルタマック(日本語字幕無し)
他(海外版は網羅しきれないので)

STAFF
製作総指揮:レイモンド・チョウ〈鄒文懐〉
脚本:サモ・ハン・キンポー〈洪金寶〉
監督:サモ・ハン・キンポー〈洪金寶〉
アクション監督(武術指導):サモ・ハン・キンポー〈洪金寶〉
                 ラム・チェンイン〈林正英〉
                 ユン・ピョウ〈元  彪〉
                 ビリー・チャン〈陳會毅〉
撮影:リッキー・リュウ〈劉觀偉〉
音楽:フランキー・チェン〈陳勲奇〉
制作、配給:ゴールデン・ハーベスト、STAR TV、メディア・アジア、フォーチュンスター・エンターテインメント

CAST(声優)
デブゴン(チャン):サモ・ハン・キンポー〈洪金寶〉(水島 裕)
ヨウ(ツイ):チュン・ファト〈鍾  發〉(島田 敏)
チン・ホイ:チャン・ルン〈陳  龍〉(藤本 譲)
警部:ラム・チェンイン〈林正英〉(若本規夫)
タン:ウォン・ハー〈黄  蝦〉(村松康雄)
ラオー:タイ・ポ〈太  保〉(龍田直樹)
チン・ホイの手下:ユン・モウ〈元  武〉(飛田展男)
ホーロー・カオ:ウー・マ〈午  馬〉(安田 隆)
杏仁豆腐屋:チャン・キンボー〈張景坡〉(仲木隆司)
デブゴンの妻(鵜飼るみ子)
その他(石森達幸、牛山 茂、中田譲治、巴 菁子)

STORY

街一番の肝っ玉と自負している車夫のデブゴン(チャン・ダイタン)は街の男たちと肝試しをする事になり、男のボロい家で深夜、鏡に向かってリンゴの皮剥きをする。うまく剥く事ができれば望みが叶い、失敗すれば幽霊に襲われるという外国のジンクスがあるのだ。だが、相手の男たちのいたずらにより失敗、本当に幽霊が現れてビックリ。
そんなある時、妻が間男と浮気をしているところを目撃するデブゴン。乗り込むのだがギリギリで間男には逃げられてしまう。そして、間男の正体はデブゴンの雇い主、タムだったのだ。タムは発覚を恐れデブゴンの抹殺を計画、ロウの入れ知恵で妖術使いのチン・ホイを雇う。
だが人を殺める事に警告を発する弟のヨウ。そして喧嘩の末チン・ホイにヨウは離縁宣告を告げられる。
デブゴンを死者を祀る祠におびき出し、操ったキョンシーでの殺害を企むチン・ホイ。それを知ったヨウはデブゴンの側につき、助言を与えることになる。
見事、祠で二晩を過ごし、一命ととりとめたデブゴン。しかし家に戻ると家中血だらけで妻の姿がない。駆けつけた役人たちに犯人扱いされ終われるデブゴン。役人達に逮捕されてしまう。
そして、刑務所を脱獄、逃げてきた先の廃屋でゾンビと遭ってビックリ、一方警部はサモ・ハンを斬り殺そうとして間違えてゾンビを斬ってドッキリ、さらにはデブゴンとヨウの元へチン・ホイが人形を使った妖術で奇襲をかけてきたりと、色々なトラブルに巻き込まれながらついに、デブゴン達とチン・ホイの最後の決戦が始まった!

解説:元祖霊幻シリーズ第1作を完全デブゴン化!!

香港で一大ブームを巻き起こした霊幻シリーズの火付け役、サモ・ハンホラー(元祖霊幻シリーズ)の第1作目、それがこの鬼打鬼だ(タイトルは「仲間同士の醜い争い」という意味らしい)。
TVでは主に深夜枠で放送され、サモ・ハンの人気シリーズ「燃えよデブゴン」の一部に勝手に取り入れられてしまい、この様なトンチンカンなタイトルになってしまっている。
だが、当然の様に他のデブゴンシリーズとは明らかに一線を画しており(別作品なんだから当然なんだけど)、浮気をした上にデブゴンを殺そうとまでした妻とタム、兄弟同士で血みどろの争いを続けるチン・ホイとツイ等随所にブラックな皮肉が見て取れる(一番ブラックなのはラストシーンだけど)。
キョンシーはデブゴンが廃屋で二晩を過ごすシーンで妖術使いに操られるモンスターとして登場。この時点ですでにキョンシーステップや手を前に突き出すポーズ等は完成しており、元祖の貫禄を感じさせる(のか?)。
そして、デブゴンはカンフーを駆使してキョンシーと戦うがキョンシーはそれを上回る強さだったりとなかなか見ごたえあり。
字幕版ではあまり笑いの部分はないのだが、吹替版ではさすがデブゴンシリーズ、定石の水島 裕演じる気弱なデブゴン(役柄の一番の肝っ玉と反比例しているのだが)や、意味不明(笑)の呪文を唱えるチン・ホイ、マヌケな喧嘩をする冒頭の幽霊(夢オチだけど)、何故か字幕版と役名の異なるヤオ(字幕ではツイ)など、ちゃかすところは徹底的にちゃかしている(これがいいか悪いかは主観の違いによるが)。
だが中でもブッ飛んでいたのはラム・チェンインの声を演じている若本規夫だろう。喋り方はまんま「ドラゴンボールZ」のセルだし(笑)、原語に反してやたら偉そうな部分とかを強調していて見物である(決してあってはいないけどね)。この顔で若本氏の声が発せられるだけで背すじがゾクゾクする(誉め言葉よ)のはオレだけではないはずだ(笑)。
あと、この時点でもうチュン・ファトは稲川化現象が起きているみたいだぁね(笑)。
個人的にはこのノリで「人嚇人」、「人嚇鬼」なども吹替が作られていたら面白かったのだが・・・どうも存在しないようで残念である(まぁあったとして「人嚇人」が「デブゴン」シリーズになったらそれはそれで非難轟々だろうね)。
最終決戦におけるサモ・ハンの槍(VSウォン・ハー)はカンフー映画としてもなかなかでサモ・ハンのやけに身軽な動きとオジキョンことウォン・ハーの華麗な剣を使った立ち回りは観ていて面白い。会話部分は憑依の術を使っているので早送りした時のような喋り方で笑えるし。
他の見どころとしてあの圧巻のラストは一見の価値あり。あそこが良くも悪くも香港映画なんだな・・・と感じさせる(霊幻2の時も同様だったけどね)。
ちなみに、この映画が燃えデブシリーズだからといって「霊幻師弟<人嚇人>」と「霊幻百鬼<人嚇鬼>」が燃えデブとして放送はされていないのでご安心を(何の安心だ)。
なお、この「鬼打鬼」の続編として「鬼打鬼之黄金道士」・・・ではなく、「鬼喰う鬼<鬼絞鬼>」が製作されているが、どっちも敵が妖術使いなのとラスボスが燃えるというところが一致していて興味深い(笑)。
オススメ度:☆☆☆1/2 、評点:85点

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