ドラゴン特攻隊

1982年、香港・台湾合作  原題:迷〈イ尓〉特攻隊、英題:MISSION FANTASTIC 配給:東映

※日本版の英題は「MISSION FANTASTIC」ではなく「JACKIE CHAN IN THE DRAGON ATTACK!!」という和製題英題になっている。

■ソフト情報(全ての商品は海外公開版フィルム使用で日本公開版原語音声は劇場公開時とTV放送時副音声、日本語吹替はTV放映のみ。日本語吹替効果・BGM音源は海外公開版を使用)
ビデオ発売:東北新社、東映(フィルムは海外公開版)
ビデオ再発売:日映エージェンシー(旧ビデオ、DVDと多分同内容)
DVD発売:JVD(フィルムは海外公開版)、ライン・コミュニケーションズ(ジャッキー・チェンファイティングBOX版、中身はJVD版と同一の模様)
海外版DVD発売:ワールドトレード(香港版、上記の仕様に加えて北京語音声収録、日本語を含めた字幕無し)

STAFF
監督:チュ・イェン・ピン〈朱延平〉
製作:ジミー・ウォング〈王  羽〉、リン・ロンファン〈林栄豊〉
製作総指揮:ジャン・ウェン・シォン〈江文雄〉、シェン・シャオ・イン〈沈曉印〉
製作担当:シェン・シャオ・イン〈沈曉印〉
企画:チョイ・ツァイライ〈徐再来〉
編集:ウェイ・シン〈韋  辛〉
撮影:リィャオ・チン・オン〈廖慶松〉
音楽、主題歌:タオ・ダ・ウェイ〈陶大偉〉
日本版主題歌「デンジャー・ラブ」作曲:もんたよしのり
                   作詞:吉田美奈子
                   歌:もんた&ブラザーズ(フィリップスレコード)
制作・配給:JACKIE&WILLY PRODACTION、香港正明影業公司
日本版予告ナレーション:中田浩二
日本語吹替版翻訳:矢田 尚
日本語吹替版演出:蕨南勝之
日本語吹替版制作・配給:コスモプロモーション、日本テレビ

CAST(補足、声優)
シャオリー(小覇王):ジャッキー・チェン〈成  龍〉(石丸博也)
ドン中尉:ジミー・ウォング〈王  羽〉(小川真司)
リリー(リンリン):ブリジット・リン〈林青霞〉(山田栄子)
ビリー・ザ・キッド:タオ・ダ・ウェイ〈陶大偉〉(羽佐間道夫)
チョビヒゲ:ソン・ユー〈孫  越〉(及川ヒロオ)
オマツ:ファン・チェン〈方  正〉(富田耕生)
B子:シウ・プ・リャオ〈許不了〉(大泉 滉)
パピヨン:コウ・リン・フォン〈高凌風〉(喜多川拓郎)
エルニュー:チョン・リン〈張  玲〉(小宮和枝)
プリンス・アマゾネス:アダム・チェン〈鄭少秋〉(西村知道)
玄徳元帥:ポール・チャン〈張  冲〉(安田 隆)
将校:リー・クン〈李  昆〉(郷里大輔)
ウェイター:チン・テイ〈金  帝〉
囚人(千田光男)
関羽参謀長(島香 裕)
その他:チェン・ホン・リエ〈陳鴻烈〉、チェン・ドウ・メン〈乾徳門〉
その他声優(佐々木るん、上田敏也、藤本 譲、滝沢博子、橋本るみ子)

STORY

第二次大戦中、連合軍の高級将校数人が日本軍の攻撃により捕虜となってしまい、軍費50万ドルと共に拉致されてしまう。
連合軍は急遽、特攻隊を結成し高級将校救出作戦を提案、007ジェームズ・ボンド、ロッキー、悪漢探偵など精鋭の中から選ばれた指揮官は凄腕の軍人・ドン中尉だった。
早速メンバー選出を開始するドン中尉。元ドンの部下で指名手配中の悪党チョビヒゲ、投獄中の囚人で脱獄の天才パピヨン、ドンの戦友であるが女にやたら弱いビリー・ザ・キッド、ビリーの恋人で成り行き上同行する事になったリリー、役立たずだが車の運転担当であるホモ兄弟のオマツとB子、以下のメンバーで将校救出作戦に出向く事になった!
しかし道中、突如現れたアマゾネス軍団の不意打ちによりドン中尉は戦死、生き残った特攻隊は命からがら逃げ出すもアマゾネスに捕まり、集落にて拷問を受ける事に・・・。
アマゾネスは狩りを楽しむためにリリーをワザと逃げさせてゲームを始める。危機一発のところを救ったのは地元のチンピラで賭けプロレスのチャンピオン、シャオリーとエルニューだった。
他のメンバーも拷問を受けるものの、命からがら脱出に成功し、1軒の廃屋に逃げ込む。
しかしそこはバケモノの棲家となっていた幽霊屋敷でキョンシーや白骨の妖怪などに襲われまたもピンチに立たされる特攻隊!
処刑寸前のところを救ったのは目くらましの花火を手にし別行動していたリリーだった。
幽霊達がひるむ隙を突き何とか逃げる事に成功する特攻隊の面々だが、彼らには過酷な運命が待っていた。
何とか将校達が捕らえられている基地までたどり着いた特攻隊だが、そこでは既に日本軍人は全滅しており、惨劇の壮絶さを物語っていた。そこに金の臭いをかぎつけ、エルニューと共にシャオリーが現れるが、逆にシャオリーが金を奪ったのではないかと疑われてしまう。
しかし、それは敵の罠で実は基地は既に敵軍によって取り囲まれており、特攻隊は袋のネズミだったのだ!
最大のピンチを迎えた特攻隊は基地の中で隠された50万ドルを発見し、敵軍は50万ドルの在り処がわからないために基地を包囲してもなお、攻撃を加えていなかったのだ。
敵軍の目的はただ一つ、将校の命と引き換えに身代金50万ドルを渡す事。そして、決断の猶予は夜明けまで。特攻隊は最後の決断をする。基地に爆弾を設置し、生き残った者が基地ごと敵を全滅させるというものだった。
そして捨て身の作戦に出る特攻隊、敵兵士の刀にB子は倒れ、激怒したオマツも敵の猛撃にハチの巣にされる。
再びよりを戻したビリーとリリーだがリリーは凶弾に倒れ、ビリーも後を追うように殺される。
チョビヒゲとパピヨンは前線でマシンガンにて応戦していたが、パピヨンの死を目の当たりにしてチョビヒゲは涙を流しながらも戦い続ける。
シャオリーもエルニューと共に敵兵士と戦い何とか全滅に追い込むが、そこに思いもしない人物が現れる。そう、戦死したはずのドン中尉だったのだ。
ドンが生還した事を喜び戦果報告をするチョビヒゲだが、何とドンはためらいも無くチョビヒゲを射殺する。
全ての黒幕は50万ドルを我が物にせんとするドン中尉だったのである!
目の前でその惨状を見せ付けられたシャオリーは特攻隊とは関係ない部外者ではあったものの、一部始終に関わった証人として消されそうになり、ドンに対し怒りを爆発させ戦いを挑む!!

解説:キョンシーはほとんど出てないけれども・・・。

さて、ジャッキー映画史上最低ランクに位置付けるこの映画、実際に見たことある人はそんなに多くは無いのではないだろうか?
この映画は香港黒社会の重鎮でありジャッキーの先輩カンフー俳優であるジミー・ウォングがジャッキーをはじめ色々な俳優を拉致し(笑)完成させたオールスター戦争映画であるが(この数年後ジミー・ウォングは、またもやジャッキー、サモ・ハン・キンポー、アンディ・ラウ、レオン・カーフェイなどを拉致し同じ監督で監獄アクション「炎の大捜査線」を作る)、もちろん筋などが通っているはずもなく、設定考証も当然ムチャクチャ(笑)。
第2次大戦中なのにジェームズ・ボンドやロッキーの写真(当然無許可でしょう)が出てくるわ、ロッキーに至っては「ロッキーじゃ役に立たないでしょう」と一蹴する辺りはコメディの予感もする。
メンバーもビリー・ザ・キッドやチョビヒゲ、オマツにB子(わかってると思うけど元ネタはおすぎとピーコ)とか日本版もかなり暴走気味の役名で「何でもいいからとにかく見てください!」という切実な願いが込められているように思う(笑)。そういえば脇とか役名の所々に三国志のキャラ名が使われているので(小覇王とか玄徳とか関羽とか)もしかしたら元は全員三国志から取ってるのではないか?とか思うが実際はどうなんだろうか。
では、この映画はクズ以下なのか?って疑問になると・・・個人的にはそうでもないように思う。
だって、香港のアクション映画なんてこの時代、リアリティよりもスカッとする娯楽作のほうがウケる時代、下火ではあるもののカンフー映画はまだまだ元気な時なのでこういう映画もけっこう受け入れられてたんだろう・・・と思う。
それに、「片腕ドラゴン」のジミー・ウォングなんだから、普通にマジメな映画だったらそれこそこれより出来が悪いのではないか?とも思ってしまう(笑)。
戦場でいつ殺されてもおかしくない状況で常に明るく、笑いとウケを忘れないようなメンバーは戦争映画では却って珍しく、管理人的にはむしろ新鮮に見えるくらい。

が・・・しかーし!
そうそう誉めるワケにもいかないのがこの映画。
ラストバトルは滑稽この上ない描写で敵兵士は鬼平のようなメットを被り、お奉行の恰好をした日本軍っぽい兵士や、北斗の拳に出てくるメット兵士をチープにしたようなヤツ、ローマ兵をチープにしたようなのとかが車の天井(オープン?)から上半身を出して発煙筒とかくるくる回しながら基地に近寄ってくる(しかもそのシーンがけっこう長いのよ)ところは「マジでラスト?」って感じなくらい緊張感が無い、マジで(笑)。あと、第2次大戦中なのに思いっきり戦後の車ばっかり出てくるし(笑)。
それとさっきまで笑ってたキャラがあっという間に全員殺される展開はある意味ギャップがありすぎて管理人はいささか見終わってブルーな気分になってしまった。
でもそのおかげで、ヒゲダンスやってそうにしか見えないチョビヒゲとか弟の復讐に燃えるB子とかの最後はめちゃめちゃカッコよく見えるんだから結果オーライか。
あ、忘れてたが肝心のキョンシーは幽霊屋敷にて3人で麻雀をやっていて(笑)、寝ぼけてやってきたB子を入れて4人ではじめるものの、B子の勝ちっぷりにちょっと怒って首飛ばしてB子の牌を覗き見したり(笑)、机の下から手伸ばしてB子の牌をひっくり返したり・・・となかなか面白いキャラで個人的には好き。
そして首が浮きながら覗いても「見ちゃダメ!」って一喝するだけで全く気づかないB子もおいしいし、それでビビッてあきらめるキョンシーのやり取りはけっこう笑える。でもね、幽霊屋敷にほとんどいなかったリンリンが脱出する時に「あれは手品師崩れがアンタ達をカモるために仕掛けた罠よ!」って言うんだけども、大戦中に中東っぽいところにいる一般市民がホログラフで首浮かせたりできるのか?って疑問があるわけで、そこを考えると「手品って事にして早く忘れたい」って考えていたのではないかな?とも思う。

最後に、ここまで文章を読んで「タダモノではない映画」だって事はわかってくれたと思うけど、それをわかった上でこんなキャッチコピーを見せられたら笑うだろうな・・・とか思ったのでツッコミなどをば。





愛の、回し蹴りを入れたい。
(パンフレット中表紙より)





愛があっても痛いですよ





ジャッキー・チェンは、胸にくる。
(パンフレット見開きより)





確かに胸やけしそうだし、この映画お腹一杯(笑)。





彼の目が澄んでいるのは、きっと、あなたのせいだ。
(予告ナレーションより)





オレのせいかよ!(三村風に)





根っから陽気 とことん過激
ジャッキー・チェンが
ぶっちぎる
(予告ナレーションより)





確かにジャッキー珍しくたばこ吸うし、よく爆発するし、みんな陽気だし、ジャッキーの出番も含めてぶっちぎってるね(笑)。



オススメ度:☆☆(だ~か~ら~、キョンシー出てこないからね) 、評点:60点(見る場合は自己責任って事で)

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